皆さんこんにちは、篠岡です。前号Vol.13の続報です。本校サッカー部はその後も勝ち進み、11/1に興国高校さんとの決勝戦に挑みました。前・後半さらに延長戦で1-1の同点のまま、PK戦にまでもつれこんだ末、結果大阪準優勝(ここ6年で4回目、2回は優勝)となりました。3年振りの全国への切符はあと一歩で手に入りませんでした。残念でした。

履正社高校サッカー部員・スタッフの皆さん、本当にお疲れさまでした。結果はさておき、非常に白熱したgood gameを見させてもらいました。また、学校から授業終わりに直接現地に乗り込んでくれた本校生徒諸君、多数駆け付けていただいた保護者・OB・OGなどを交えた大応援団。皆の声援は選手たちに勇気と力を与えただろうし本当に頼もしかったです。ありがとうございました。そして、同じく大応援団を繰り出しスタジアム全体で鎬を削った興国高校さん。聞くところによると昨年準決勝PK戦で本校相手に逆に涙を呑み、そのリベンジを果たす形で6年ぶりの全国出場だそうです。まずはおめでとうございました。両チームがあってこその素晴らしい決勝戦でした。12月の全国大会では大阪代表として優勝目指して頑張ってください。心より健闘をお祈り申し上げます。



さて、表題の『勝敗は時の運』。これは「勝負の世界は実力や努力の差ですべて決まるものではなく、運や偶然の要素も影響する。よって勝った者には謙虚さを、敗れた者には慰めを…。」という古くからの諺です。
実のところ私はこの言葉があまり好きではありません。それなりに勝負の世界で生きてきた体育会系の私にとっては、これが特に敗者に向けられた時、どこか歯の浮いた台詞に感じられるし、言い訳のような印象を与えることもあると思えるからです。私は基本的に「勝負においては、勝っても課題は必ずある。負けたのなら尚更で、それらを改善せずして成長はない」と考えるタイプです。『勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし(原典は孫子兵法書)』というプロ野球の名将、故野村克也監督の言葉の方がしっくりきます。なので『勝敗は時の運』は、私自身今まで軽々に使うのを避けてきた言葉でした。なのに、今回あえて表題にこの言葉を使った理由はというと、この試合に関しては本当に敗因が見当たらなかったからなのです。当然この試合を分析して「勝ちきれなかった理由」を今後のために突き詰める必要はあるでしょうが、「負けた理由」など探す必要はないと思うのです。
そもそもサッカーは、通常リーグ戦において同点引き分けは両チーム勝ち点1です(勝ちは3点、負けは0点)。しかし、トーナメントでは延長戦後も決着がつかない場合、次に進むチームを便宜上決めるためにPK戦が行われます。これは残酷だけど仕方のないことです。これよりもっと切ないのはラグビーで、同点引き分けの際、けっこう最近まで“抽選くじ引き”で次戦への進出者を決めていました。ここで、元サッカー日本代表チーム監督イビチャ・オシム氏の「最初に言っておくが、PK戦はサッカーではない」という言葉も思い出されます。
サッカー部諸君。この結果で君たちの実力・努力・チームワークが1ミリたりとも疑われることはありません。今回のPK戦によるこの結果は受け止めねばならないですが、決して言い訳でなく、熱闘の後のPK戦だけは「時の運」による別物だと思います。私は高校の時、サッカー部にPKのキーパーを体験させてもらったことがあります(バレー部の私は強打を止めるのはそこそこ自信がありました)。しかし、あの距離であのスピードのボールを蹴られてから反応しても、せいぜい左右1mくらいしか止められませんでした。ゆえに勘で跳ぶ(キッカーは蹴る)しかないのです。本職ならそれまでの読みや駆け引きからある程度は予測がたつのかもしれませんが、それでも最終的には右か左かの丁半博打です。まさに“運”まかせです。キーパーもキッカーもチャレンジした結果であって、決められようが止められようが、そこには決してミスはありません。だって今回誰一人シュートは枠を外していないんですから。だから、この試合に限っては決して敗因を求めることなく、顔を上げて次に向かってほしい、キッカーもキーパーも含めチーム全体で前に進み続けてほしい、と願っています。仮にこれがプロなら「結果がすべて」という言もあるのでしょうが、君たちは高校生。発展途上の無限の可能性を秘めた若人なのですから…。長いサッカー人生、まだまだこれからですよ!
最後に、1994年米ワールドカップ決勝、対ブラジルのPK戦、自分のキックで敗れたイタリアの至宝、ロベルト・バッジョの言葉を紹介します。
“Only those who have the courage to take a penalty miss them.”=『PKを外すのは、PKを蹴る勇気がある者だけだ。』
おまけとして、今回の熱戦の様子を詳しく伝えた記事(悔しいけど…)を見つけたので、下にupして終わります。
興国、履正社に昨年準決勝PK戦敗退のリベンジ果たし6年ぶり2回目の選手権出場達成!(高校サッカードットコム) – Yahoo!ニュース
