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校長ブログ / 高等学校

2025.04 UPDATE

入学式が挙行されました

 4月7日(土)、晴れ渡る春空の下、2025年度入学式を総合体育館で挙行しました。多数の保護者様、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、全教職員も参列して晴れやかな式典となりました。本日より履正社に仲間入りした401名の新入生の皆さんが実りある3年間を過ごされることを心より祈念いたします。

 以下に、少し長くはなりますが、入学式式辞を載せておきます。お読みいただければ幸いです。

 式辞

 暖かな春の日差しに誘われて、桜の花も咲き誇り、本日の皆さんの門出をお祝いしているようです。このよき日に、希望に満ちあふれた新進気鋭の皆さんを我が校に迎えることができ、我々教職員一同 まことに慶びに堪えません。

 本日ここに、ご列席の保護者の皆様とともに、学校法人履正社 履正社高等学校  令和7年度入学式を挙行できますこと 心より感謝申し上げます。また、挙行に際しまして、ご多用中にも関わらず多数のご来賓(らいひん)の皆様のご臨席を賜り、高所からではございますが、厚く御礼申し上げます。

 ただいま入学を許可いたしました401名の新入生の皆さん、入学おめでとう。   また、保護者やご家族の皆様、ご子息、並びにご息女のご入学 まことにおめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

 本校は大正11(1922)年に漢文学者である初代理事長釜谷善藏(かまやぜんぞう)先生により創立され、今年で103年の歴史と伝統を築いてきた学園でございます。その間、3万有余名の卒業生が様々な分野で活躍されており、これも建学の精神を伝える「履正不畏(りせいふい)」「勤労(きんろう)愛好(あいこう)」「報本(ほうほん)反始(はんし)」の校訓のもと、長きにわたり知育尊重と人格陶冶(とうや)の教育を推進し、質の高い学習指導と的確な進路指導を実践してきた成果であると確信しております。

 さて、新入生の皆さん、本日から晴れて履高生としての3年間が始まります。    義務教育を終えた皆さんはもう子どもではありません。高校入学を果たした今日からもう大人の入り口に立っているのです。ですから、高校生としていったい何をすればよいのか、それをあらためて自分自身で考えてみましょう。…と言われてもなかなかピンと来ないと思いますので、私から一つアドバイスを送ります。それは本校の校訓三綱領を実践してみることです。

 中学時代に皆さんは、自我や価値観を確立するため、つまり子どもから大人になるために、「思春期」、言い換えれば「第二次反抗期」を迎えたはずです。「反抗」と言うと聞こえが悪いですが、身近な大人から自立して、子どもが大人に成長するための重要な手段が「反抗」なのですから、これは人の成長には欠かせないものです。思い返せば、そんな厄介な時期に、例えば「勉強しなさい」という大人の声に反発しつつも、あるいは「何のために勉強しなきゃいけないんだ」と自身で葛藤しつつも、皆さんはいろいろなことに折り合いをつけながら勉強し続けたはずです。その甲斐あって今日の日があるわけですから、高校進学は皆さんが己の努力で勝ち取ったのは間違いありません。このことは手放しに「よく頑張った」と賞賛すべきことだと私は思います。しかし、大人になった今なら皆さん気付いていますよね? その間、どれだけ反抗されても温かく見守り続けてくれた保護者や家族、恩師の存在があったことを。そして、心ならずもそれに素直に応えられなかった自分がいたことを。だからこそ、まずはこのことに思いを巡らせて高校生活をスタートしてもらいたいのです。実は、これが校訓の一つ「報本反始」、すなわち「初心にかえり今の自分を育んでくれた源、つまり今までお世話になった人々の恩に報いる」ことを実践することになるのです。

 次に、皆さんは数多(あまた)の高校の中から縁あって「履正社」の門をくぐったわけですから、その校名通りの高校生活を送ってみればよいのです。本校の校名が校訓の一つ「履正不畏」に由来していることは自明ですが、これは「自ら進むべき道を自ら定め、他に(はばか)ることなく遂行する」という意味です。「社」は、「そんな志を持った若人(わこうど)の共同体」です。この3年間、誰に遠慮することなく、迷うことなく、怠ることなく、自分で定めた将来の夢に向かって、自分を信じて仲間とともに一直線に突き進めばよいのです。

 最後に、「周りの人々に感謝しつつ、かと言って惑わされることなく、いったい何を遂行するの?」となるわけですが、これは当然、学生の本分である「学び」です。ただし、中学生までの受動的姿勢とは異なり、高校生になった皆さんは、将来ありたい姿を思い浮かべ、その実現のため自らそこに至る道筋を描き、目標に向かって己の意志で、主体的・自発的・積極的に学ぶのです。これが校訓の最後の一つ「勤労愛好」であることは言うまでもありません。そして、ここで言う「学び」とは、勉学だけを指すのではなく、クラブ活動や行事など学校でのあらゆる教育活動、さらに地域のボランティアや社会奉仕など校外での様々な活動、果ては仲間との交友や各々のプライベートの営みまで、高校生としてのすべての活動・体験がその対象となります。

 さて、ここでもう一つ重要なことをアドバイスします。高校時代は、長い人生の中で最も心身ともに成長する期間と言われますが、それをさらに加速させるコツがあります。それは様々な学びの場面で「学びそのものを如何(いか)に楽しむか」ということです。何事も嫌々やっても(はかど)らず、身に付きにくいのは当然です。学びは楽しむことで、いっそう成果が出るし、また長続きもするのです。それではなぜ、人はなかなか学びを楽しめないのか? これは「楽しむ」の漢字が、音読みで「(がく)」と読みますが、「(らく)」とも読むことが原因ではないかと私は思っています。つまり、「楽しむ」(イコール)(らく)」だと勘違いし、「(らく)じゃないから楽しくない」、だから「学びは楽しくない」と思い込んでしまうのではないでしょうか。だからこそ、強く認識してください、「楽しむ」=「()」であることを。ただし、この苦労は、目標のない学び、人に強制された学びであると、ただの「苦行」のままです。人は努力の先にある良い結果だからこそ嬉しくて楽しいと感じるのです。そして、自分の掲げた目標を達成するためなら、その過程がどれほど(つら)くても「苦」すら楽しめるようになるはずです。

 実はそのお手本になるかもしれないのが、我々教職員です。当たり前ですが、我々は常々(おのれ)のスキルアップのため研鑽(けんさん)を積み続けています。さらに近年、ICT教育、探究教育、言語技術教育、ティーチングからコーチングへの転換などなど、我々にとっても未知の課題が次々と提示され、その習得に日々悪戦苦闘しているのです。つまり、履正社は教職員も日々「学びを楽しんでいる」のです。さあ、皆さんも我々と一緒に、さらに今、隣に座っている仲間たちとともに、3年間学びを楽しんでいきましょう。

 ここで、有名なミュージシャン「ザ・ブルーハーツ」のボーカル甲本(こうもと)ヒロトさんが、(エックス)で次のようなメッセージをあげていたので最後に紹介します。

楽しいと(らく)は違うよ。楽しいと(らく)は対極だよ。楽しいことがしたいんだったら、(らく)はしちゃダメだと思うよ。(らく)しようと思ったら楽しいことはあきらめなきゃダメだね。ただ生活は(らく)な方が絶対いいと思うよ。でも、人生は楽しい方がいいじゃん。余計なことには気を取られず、人生は楽しく。

 私もまさに同感です。皆さんが今後の長い人生を、充実かつ楽しいものにするためには、苦しみながらも楽しんで、一生学び続けることが欠かせません。よって、そのことをこの履正社で体得してもらえれば、それは生涯にわたるかけがえのない財産を手に入れたことになるのだと思います。

 結びにあたり、ご臨席の保護者の皆様、お預かりいたしました大切なご子女、一人ひとりの夢の実現に向け、我々教職員一同は全力を尽くして教育活動に取り組んでまいります。各ご家庭におかれましても、本校の教育理念・実践に大いなるご理解とご支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私の式辞といたします。

              令和7年4月7日

学校法人履正社 履正社高等学校校長 篠岡正和

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