履正社中学校・高等学校
「学術基盤センター」の設置について

本校は、令和6年4月に新たな校内組織として「学術基盤センター」を設置しました。世界にひらかれた視野を持ち主体的に学ぶ生徒を育成するために、探究的な学びのあり方をデザインし、生涯にわたる知的な基盤を形成する拠点として活動を行ってまいります。

学術基盤センター組織図

本センターには、従来の教務組織とは別に、「多言語多文化教育部」「図書館情報教育部」「言語技術教育部」「探究教育部」を置き、各分野を専門的に研究しつつ、互いを関連させて教育効果を最大化します。また、教頭格のセンター長1名を置いて、学校全体の教育の高度化を推進します。

ごあいさつ

松本浩欣

Matsumoto Hiroyoshi

松本浩欣

学術基盤センター長

今までもこれからも、知識やスキルを学ぶことは常に重要です。しかし、『覚えて身につけたものをどう活かすか』を思考する下地が学校教育には必要です。その思考のトレーニングをするのがセンターの仕事。全ての生徒が自分の持っているものをちゃんと活かせるように、しっかりと下支えをしていきます。

PROFILE

早稲田大学を卒業後、英語科教諭として東京・神奈川の複数の中学高校で勤務。平成27年度文部科学省英語教育推進リーダー中央研修に参加して以来、英語教育に関する全国規模の研修会を企画運営してきた。また、海外の学校との相互交流・姉妹校関係の締結、海外大学への進学指導や海外大学との連携協定締結、Dual Diploma Programの導入に加えて、文部科学省、内閣府、外国の政府教育省などと連携し、多くの国際交流関連プロジェクトを手掛けている。一方、中学高校で勤務を続けつつ、国内の大学院で比較文化修士、教育学修士を取得後、メルボルン大学にて応用言語学TESOL修士号取得、東京大学大学院教育学研究科にて博士課程単位取得。東京外国語大学や東京都立大学で非常勤講師を兼務している。教育実践者と研究者の両面から、高大連携による教育の高度化をテーマに、日々実践を重ねている

学術基盤センターの目的

本センターは、本校建学の精神を体現し、社会の発展に貢献できる人材を育成するために、
以下の3点を主務とします。

  • 1世界にひらかれた視野を持つ人材を
    育成する教育プログラムを開発すること
  • 2主体的な学習者を育成する
    探究的な学びをデザインすること
  • 3すべての生徒や教師の学びを支え、
    学園全体の教育活動を常に高度化すること

学術基盤センターの活動内容

1.多言語多文化教育部

急速に多言語多文化化・複言語複文化化が進む世界を軽やかに生き抜く、しなやかで重厚な国際感覚を持つ人材を育成します。まず、「インバウンド」や「アウトバウンド」の領域では、修学旅行や語学研修、留学生の送り出しや受け入れを企画するだけでなく、海外の学校との相互交流や交換留学、国内外の大学との連携を進めるとともに、生徒が海外大学に進学する環境を整えます。さらに「多言語多文化学習」の領域では、学校生活の中で生徒が自然に多元的な価値に触れることができるプログラムを運営します。授業や行事はもちろん、部活動における海外交流も積極的に企画し、すべての生徒が「世界は外にあるものではなく、ここが世界だ」と実感できる環境を目指します。アメリカの名門進学校と提携した「US Dual Diploma Program」を導入するなど、具体的な取り組みが進んでいます。

2.図書館情報教育部

情報との接し方がますます複雑化する現代社会において、情報の受け手であると同時に作り手として、情報リテラシーを身につけた人材を育成します。具体的には、SNSの活用方法、著作権や肖像権の扱い、論文執筆の際の引用や参照の規則など、情報との接点においてどう振舞うべきで、そこから何を得て何を守るべきなのかを、様々な機会に指導します。一方、情報の宝庫である学校図書館と連携し、図書館情報学の専門家の助言を得て、学校図書館をあらゆる教育活動における「知の拠点」とします。具体的には、読書活動の充実を図る「読書センター」機能、調べ物や探究学習の際の「学習センター」機能、情報リテラシーに基づき情報を活用する「情報センター」機能の3つを確立します。

3.言語技術教育部

言語技術(Language Arts)教育とは、欧米諸国で実践されている世界標準の母語教育であり、言語の4機能(聞く、話す、読む、書く)に加えて、思考の方法の訓練(論理的思考、分析的思考、批判的思考、創造的思考)を体系的に積み上げるプログラムです。日本国内では、国語の授業に一部導入されつつありますが、一貫性のあるカリキュラムが構築されておらず、その効果は限定的です。本校は、言語技術をすべての学習の基礎と捉え、国内唯一の「中高6年一貫の言語技術教育」を実施します。さらに、高等学校においても言語技術教育の導入を積極的に進める予定です。授業では、議論、読解、作文の方法論を学び、論理的で分析的な考え方を身に付けます。言葉を使ったあらゆるコミュニケーションの骨格になる技術は、外国語学習や各教科で行われる探究的な学びの基盤となります。なお、本校の言語技術教育は、児童生徒だけでなくスポーツ選手や企業の社員に対して豊富な指導経験を持つ「つくば言語技術教育研究所」と連携して実施します。

4.探究教育部

生涯に渡って主体的に学び続ける基盤を形成するために、自ら問いを立てそれを深める探究的な学びのあり方をデザインします。本校では、探究的な学びを「物事の本質を探って見極めようとする一連の知的営みであり、問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく学びのあり方」と捉え、校内のすべての教育活動に探究的な視点を取り入れます。授業や行事、部活動において、正解のない問いの解決を目指し、周囲の人々とコミュニケーションを取りつつ情報を収集し整理し分析して、その成果を発表や論文の形で皆と共有し社会に還元するという循環を作り上げます。その際には、生徒が言語技術教育によって身につけたスキルを活用することで、学びの質は大きく高まります。さらに、学びの専門家である教員や内外の第一線で活躍する研究者などが生徒を支援して、より深い学びにつなげます。

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