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校長ブログ / 中学校

2025.09 UPDATE

【中学校長ブログ】戦後80年目の終戦記念日によせて~舞鶴引揚記念館を訪れた小学生に、館内の案内をする学生語り部たち~

 夏休み中の8月15日は戦後80年目の節目となる終戦記念日でした。第2次世界大戦では、日本人だけでも300万人以上が犠牲になったと言われています。戦争の惨禍を繰り返さないために、戦争の体験を後世に伝える必要がありますが、戦争体験者の方々の高齢化が進み、現在若者が直接戦争体験を聞くことが難しくなっています。

 そのような状況の中、「語り部」という言葉を耳にするようになります。さらには「学生語り部」を始めた京都府舞鶴市の中学、高校、大学生についてのニュースを目にしました。

 「語り部」というのは、物語や歴史、伝承などを、口頭で語り継ぐ人のことです。

 舞鶴の学生語り部は、高齢になった戦争体験者から第二次世界大戦の体験を聞き、その話を「舞鶴引揚記念館」を訪れた人々に語り継ぐことで、平和の大切さを伝える活動を行っています。年々この取り組みに参加する学生が増え、現在その数は40名以上になるそうです。
「引き揚げの町」を受け継ぐ、学生語り部の継承のかたち|厚生労働省 Webマガジン

 このもう一つ、皆さんと同じ年代の若者の話があります。

 東京・日本武道館で政府主催の全国戦没者追悼式で、一般戦災死没者遺族の代表として献花した神奈川在住の仲條百合香さん(13)と弟の誠太朗さん(12)は、幼少期から身に付けた英語を生かして「次世代の語り部になりたい」と心に決めたそうです。今年になって、近しい親類が東京大空襲で犠牲になったことがわかり、その詳細を自分事として探究することにし、その結果、戦争で悲しむ人が世界からいなくなるよう、「平和の架け橋」として活躍したい、と思うようになったそうです。

 戦後80年の節目となった全国戦没者追悼式、献花を終え、二人は戦没者の玄孫(やしゃご)として、「日本だけが平和でもまた戦争がおきる。グローバルな視点で戦争を防ぐために、戦争の悲惨さを日本語と英語で語り継ぎたいと誓ったそうです。
東京大空襲、自分ごととして…高祖母が犠牲、姉弟が全国戦没者追悼式で献花(カナロコ by 神奈川新聞) – Yahoo!ニュース

 この「語り部」のニュースを見て、私は生徒や学生たちの行動力に感銘を受けました。マスメディアやインターネットが発達して数多くの情報があふれている現代社会で暮らす若者が、戦争体験者の高齢化という問題に興味関心を持ち、戦争体験は後世に向けて語り継ぐべき大切なものだと判断して、自ら行動を起こしたのです。

 皆さんは、約40日間の夏休みの間、様々な経験をして、自分自身に対して、または、社会全体に対して、何かしらの問題意識を持ったはずです。それをこれから始まる2学期に生かせるかどうかは、皆さんの行動力次第です。

 2学期は行事が多く、時間が過ぎるのが早く感じられるでしょう。

 その中でも皆さんには今学期に成し遂げたい目標を何か定めて、それを着実に、「しっかり、まっすぐ」行動に移してほしいと思います。

2学期が皆さんにとって充実した日々になるように心から願っています。

 2025年9月1日(第2学期始業式校長挨拶の内容です。)                      

                   

中学校長 江川昭夫

舞鶴引揚記念館で学生語り部として活動する谷口逢友(あゆ)さん。終戦後、引揚者たちが上陸した際に使われた桟橋(1994年に復元)の前で。(厚生労働省のHPより)
東京大空襲、自分ごととして…高祖母が犠牲、姉弟が全国戦没者追悼式で献花 神奈川県在住仲條さん姉弟 (YAHOOニュースより)

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