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校長ブログ / 高等学校

2022.03 UPDATE

卒業式を行いました

14時より、総合体育館で、第71回卒業式を行いました。当初は、1月22日に実施する予定でしたが、新型コロナ感染拡大防止のため、延期いたしました。 今回、コロナ禍での実施に当たり、国歌、校歌、学園歌、「仰げば尊し」は、歌唱せず、演奏の静聴とするなど、発声を伴う内容は、可能な限り見合わせました。ただ、生徒さんが主役の内容(表彰、送辞、答辞、記念品贈呈など)は、例年通り実施いたしました。
まず、卒業証書と表彰状(皆勤賞、履正社高校賞、履正高鳴賞、外部表彰)をそれぞれの代表の生徒さんにお渡ししました。
続く、私の式辞、理事長の挨拶、ご来賓のご祝辞は、読み上げず、「履正だより」での掲載に代えさせていただきました。長くなりますが、以下に私の式辞を掲載させていただきます。

 保護者の皆様、お子さまの晴れのご卒業、おめでとうございます。高校時代は、長い人生のうちでも、 心も体も大きく成長すると同時に、多感で不安定な時期とも言われています。しかし、保護者の皆様が 熱心に育み、導いてこられた甲斐が実り、お子さまは、とても頼もしい若人に成長いたしました。皆様方の本日のお喜びは、ひとしおのものがあろうかと拝察し、心からお祝い申し上げます。
 413名の卒業生の皆さん、改めて卒業おめでとうございます。皆さんの脳裏には、どのような思い出が去来しているでしょうか。勉学のことでしょうか。青春のエネルギーをこよなく燃やした部活動のことでしょうか。そのいずれにおいても皆さんは、見事なまでに一生懸命でした。安易に妥協することを良しとせず、懸命に自らの可能性に挑戦する姿は、輝いていました。皆さんが手にした卒業証書には、一人ひとりのたゆまぬ努力があったことは、もちろんのことですが、深い愛情をもって見守ってくださったご家族をはじめ、時には厳しく、時には熱く、そして優しく接してくださった先生方、そしてともに喜び、ともに涙した仲間、その他多くの人たちの励ましや支えがあったことを思い起こしてください。
 さて、社会は今、驚くべきスピードで変化しています。皆さんを待ち受ける時代は、かつてないほど 人類の叡智を必要としています。広く世界を見れば、国と国との、あるいは民族と民族とのやむことな い抗争。エネルギー問題、環境問題、難民問題をはじめとして、困難ではあるが解決の急がれる課題が 山積しております。翻って我が国を見れば、政治や経済をはじめ、社会の様々な分野において多くの矛 盾を抱え、従来の枠組みは、制度疲労を来たし、新たなシステムの構築が求められています。そのよう な時代であるからこそ、時代を担うリーダーとなる、皆さんの活躍に大きな期待をしつつ、餞の言葉を 贈ります。
 皆さんは、「アンパンマン」を知っていますね。皆さんの記憶の中での最初のヒーローかもしれません。私の家にも、昔、録画したビデオが残っています。作者の、やなせたかしさんは、アンパンマンを「世界一弱いヒーロー」と評しています。顔が濡れただけで弱ってしまうし、新しい顔を自分で作ることは、できないので、毎回ジャムおじさんやバタ子さんに助けを求める。それでも決して武器は、持たず、自分の力のみで闘う。そして、ひもじい思いをした人に、自分の顔を分けて与える。当初は、この行為に、「顔を食べさせるなんて残酷」「子どもの情操教育上よくない」「こんなみっともない主人公では、売れない」という声も上がったそうです。しかし、アンパンマンは、大人たちの予想に反して、子どもたちから絶大な人気を得て、半世紀以上に渡って愛される大ヒット作品となり、子どもたちのヒーローとしての地位を確立しました。そして、やなせさんは、自伝のなかで、こう語っています。
「ホントの正義というものは、決してカッコいいものではないし、そして、そのために必ず自分も深く傷つくものです。そして、そういう捨身、献身の心なくしては、正義は、行えません。」
 「正義」。この言葉を、堂々と語るには、どこか勇気が必要です。私たちは、歴史を通じて、排他的なイデオロギーに基づいた「正義」が、とても危うく、とても脆いものであることを痛いほどに学んできたからです。昨日まで正しいと信じていたものが、今日から全く異なるものに変質する。このようなことは、この日本でも、過去に何度も起きています。悲しいことですが、利己的なイデオロギーに基づく「正義」の行使によって、国際紛争や民族差別により迫害されている人々がこの地球上にいまだ多く存在するのも事実です。やなせさんが語るように、「人」と「人」という関係性において、「捨身、献身の心」すなわち「利他的な心」が、決して揺るぎのない「ホントの正義」に、他なりません。
 今、世界が解決するべき課題として、国連が定めるSDGs[Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)]は、まさに、そのような、排他的、利己的なイデオロギーと一線を画した視点に立っています。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「安全な水とトイレを世界中に」。これら明確な17のゴールは、どの文化であれ、どの世代であれ、どの宗教であれ、「人間」という生物学的な種を俯瞰する立場から設定されています。私たちは、17のゴールを達成していく過程において、立ちはだかる課題を自らの手で解決しなければなりません。履正社高校で学んだ皆さんは、授業、学校行事、部活動等で培った力を駆使して、これらを解決する主人公、すなわちヒーロー、ヒロインとなります。皆さんに、これからの日本と世界を託します。
 保護者の皆様、立派に成長されましたお子さまのご卒業、改めて心からお祝い申し上げます。お預かりしておりました大切な大切なお子さまを、本日無事、お返しすることができ、教職員一同、これに勝る喜びはございません。この間、本校の教育活動に多大なご支援、ご協力、ご理解を賜り、誠にありがとうございました。 卒業生の皆さん、健康に留意され、それぞれの新たな目標に向かって精進、努力され、その精進、努力が花を咲かせ、実を結ぶことを、心から願っています。私たちも、皆さんに「履正社高校出身です」 と誇りを持って言ってもらえるよう、取り組んでいきますので、履正社高校のことを、いつまでも見守っていてください。かくて卒業生の皆さんの前途が洋々たるものとなり、幸多かれと祈念して、私の餞の言葉といたします。

式終了後、卒業生は、各教室で、最後のHRを行いました。その中で、東京オリンピックにサッカー代表として出場した林大地さんが贈ってくれたビデオメッセージを披露しました。林先輩、ありがとうございました。なお、今日の卒業式の様子は、Youtubeで、配信予定です。ご来場いただけなかったご家族の皆さま、ぜひご覧ください。

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