こんにちは、篠岡です。6月に入りました。今年の梅雨入り予想は例年通りの6月上旬だそうですが、もうそろそろですかね? 最近は長雨や湿気よりも、晴れ間の日差しと気温の方が厳しいことが多いです。6月は休みも少ないですから、皆さん体調を崩されないよう気をつけてお過ごしください。
さて、本日は本校のキラーコンテンツの一つ「言語技術教育」について、少しお話を。
本校のパンフレットやHPに出てくる「言語技術とは一体何?」と尋ねられる機会が日増しに増えてきました。本校では2年前から中学学藝コース(6ヵ年)で、昨年からは高校強化クラブの一部に導入し、その試みがこの2年で様々なメディア(新聞や雑誌等)に数多く取り上げられています。

2022年に創立100周年を迎えた本校は、「その年に誕生した子が高校卒業する2040年」を目途に、その時の社会に適応する生徒を育てるためには何を変革していかねばならないのかを念頭に置き、〈Risei Vision 2040〉を掲げて多角的な教育改革に踏み出しました。その変革の大きな柱の1つとして導入したのが「言語技術教育」です。日本ではまだ馴染みの薄い学びですが、世界的には「Language Arts(ランゲージアーツ)」として欧米先進諸国はもとより、多くの欧州語圏の国々で学ばれている世界標準の言語指導法なのです。例えば、日本では日本語を学ぶ授業は「国語」ですが、アメリカでは「English」という授業はなく、代わりに英語でこの「Language Arts」を学ぶのです。これは他の国々も同様で、それぞれの母語で「Language Arts」を学びます。つまり、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などなど、話す言葉が異なる人々も「Language Arts」を学ぶ者同士で、例えば数学と同じようにその思考や技法を共有しているのです。その意味では、真の‘世界標準言語’と言えるかもしれません。しかし、残念ながら今の日本の「国語」には、ほとんどこの要素が含まれていません。ゆえに、この世界標準言語圏に仲間入りするための日本語版Language Artsが本校の推進する「言語技術教育」なのです。これを創始・体系化された「つくば言語技術教育研究所」の三森ゆりか所長(上写真左)の全面的な監修・指導を受け、中高6年間教科としての実践は履正社が日本初の取り組みです。
この「言語技術教育」は日本の学校での導入例はまだ僅かですがですが、今後必須となる分野であることは疑いようがありません。なぜなら、誰もが知る日本の大企業の数々や、世界を相手にするJOC(日本オリンピック委員会)やJFA(日本サッカー協会)などのスポーツ団体が10年以上前よりこれを取り入れて現在次々と成果を挙げていることからも実証済です。つまり‘グローバルな大人の社会’でこそ、その効力が求められているのです。たとえどれほど会話能力を磨いたとしても、根本的な思考を共有できなければ、真に国際舞台で活躍できる人材を育成したとは言えません。本校は現在、海外大学進学者の増進も目標に外国語教育や異文化交流を実践していますが、この「言語技術」を同時に学べば、まさに鬼に金棒。他に類のない履正社ならではの「国際教育」が完成するわけです。
さて、簡単に「言語技術教育」の重要性をお話ししましたが、まだその正体は不明ですよね。これを一言で説明するのは難しいので、詳しくは下のリンク先に飛んでみてほしいのですが、簡単に紹介すると、「読む」「聞く」「書く」「話す」「考える」の5つの技術を母語(日本語)により体系立てて学ぶ学問です。特に人に伝える力(=「書く」「話す」)を重視し、「頭の中の漠然とした思考を言語化し、論理的に組み立て、相手に伝わるように表現するための訓練」といった方がわかりやすいでしょうか。これは前述の「グローバルな人材育成」に直結するだけでなく、日本国内でもこれからの多様性を求められる時代を生き抜き、社会の要望する主体性、創造性、協同性などを発揮しうる人材を育成するためには最適の学びだと考えます。また、近年主流となりつつある総合型選抜、つまり小論文と面接を主とした入試には相性抜群なので、大学受験を睨んでもかなりのアドバンテージが得られます。もちろん、履正社の「言語技術」は外国語や小論文・面接だけでなく、すべての教科の学びの礎となります。なぜなら、「言語技術」はイメージを言語化し、論理的・批判的思考を磨き、分析力や創造力、コミュニケーション力をアップさせるなど、「探究的な学び」に必要な能力のすべてを高めてくれるからです。
このように、今後は「言語技術」をベースにして、履正社の教育実践のすべてがオリジナリティーあふれる学びへと成長していくはずです。とは言っても、現在実践3年目に突入したところで、あくまでも途中段階ではありますが、誇張抜きに我々は充分すぎる手応えを感じています。実際に私は2年前から、校長となった今も週6~8時間言語技術の授業を担当し、生徒たちを直接指導して(つまり、この年になった私も生徒たちとともにこの新しい「学びをたのしんで」)います。その間の生徒たちの成長は、一番近くで見てきた私がこれまで国語教師として指導してきた30数年の中では味わったことがない体感です。本当に期待感しかありません。今後は、ここまで培ってきたメソッドをさらに発展させ、高校部全体に順次導入していくことが次の履正社の目標となります。一人でも多くの皆さんと「言語技術の学び」をともにたのしむ機会を設けられるよう頑張っていきますので、どうぞご期待ください。
「言語技術を2年間学んだ本校中学2年生(現中3)の成果物」…richu-shinbun.pdf
「履正社で実践する言語技術教育とは」…履正社の言語技術教育 | 履正社|特集
「三森所長の提唱される言語技術教育とは」…「国語」教育の改革が日本を救う-言語技術教育の必要性 – 三森ゆりか | サービソロジー Webマガジン
「JFAでの取り組みとその成果」…【言語技術科】日本サッカー協会 名誉会長 田嶋幸三さんインタビュー | 履正社中学校・高等学校

【マスコミに取り上げられた本校の実践】
「シティライフニュース高校版2025.7」……-北摂west7月号P11 紙面バックナンバー | City Life NEWS
「シティライフニュース中学版 2025.5」…-北摂west5月号P5 紙面バックナンバー | City Life NEWS
「産経ニュース 2023.10」…【山上直子の犬も歩けば】磨け「コミュ力」学力の土台 言語技術教育を導入 大阪・履正社中学 – 産経ニュース
「読売オンライン 2023.6」…【特集】次世代型学力の土台を作る「言語技術」の授業スタート…履正社 : 読売新聞
「シティライフニュース 2023.5」…履正社中学・高校/「言語技術教育」で培われる表現力や 問題解決力は、社会で活躍できる礎に | City Life NEWS