4月、新学期がスタートし、皆さんそれぞれ心新たにする月だと思います。新型コロナウィルス対策も徐々に制限が解除され、できないことが多くありましたが、いよいよ活動再開です。未来に目標を定めて大いにチャレンジしてください。
「目標を達成させる」。これを見事にやってのけたのがWBCで優勝した日本代表侍ジャパン。あの興奮と感動は忘れがたいものとなりました。中でも大会最優秀選手MVPに選ばれた大谷選手は突出していました。プレイはもとより、チームを鼓舞する姿、気合とその一挙手一投足に情熱を感じ、見ていて胸が熱くなりました。優勝記者会見では「小さいころからこの大会で優勝することを目標にしていた。後輩や先輩と素晴らしい経験になった」と語っています。子どもの頃からの目標をあのように達成できるとは、何と素晴らしいことかと賞賛せずにはおれません。
さて最近、「伏線回収」が良くできている物語は評価が高いと、時折耳にすることがあります。日本実用表現辞典によると、「伏線回収とは、後の展開に活かすためあらかじめ忍ばせておいた要素(=伏線)を、意図通りに後の展開の中で活用すること。とりわけ小説・ドラマ・マンガ等の物語において、特に注目されない形で登場していた物事が、物語の後の展開で重要な役割を担うこと。およびそのような展開のこと。」とあります。
このように伏線回収は物語の構成要素として理解されるものですが、現実の世界に置き換えて考えることもできます。大谷選手が高1の時に強い目標を中心に置き、周囲9×9合計81マスに細分化した目標を書き込む「目標達成シート」を作って実行している話は有名です。また、以前この「理事長だより」でも書きましたが、花巻東高校野球部でチームメイトでキャプテンだった大澤永貴さんは「僕らも(大谷選手が)別格なのは理解しています。そんな翔平が一番、野球で努力しまくる。とにかく現状に満足せず、向上心の塊のような感じで」と語っています。大谷選手は目標と計画を明確にし、いくつもの成功と失敗を繰り返して、ついには子どもの頃からの目標を達成した。まさに現実の世界である野球において、ドラマや映画を超えたストーリーを展開した。そして、それもまた伏線になっているのかも知れません。世界中の多くのファンがこれからの進展に関心を寄せつつ、今後どのような伏線回収があるのか期待に胸が膨らんでいることと思います。
私たちの人生においても、目指すべき未来のために、計画的に物事を経験し、やがては自己が描いていたイメージに現実を近づける伏線回収が大切なのは論を俟ちません。今日この時のために昔のあの出来事があったのか、という用意周到の伏線をあらかじめ意図して実行する。言い換えれば、未来の回収に備えてチャレンジし、人と出会い、会話をし、成功と失敗を繰り返す「経験の種まき」に努めることが、ねらい通りの目標に近づくことだと言えます。皆さんもぜひ、日々の生活の中に伏線を忍ばせ、やがては見事に回収して欲しいものです。
参考引用資料
■「伏線を回収する(ふくせんをかいしゅうする)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
■侍ジャパンが優勝記者会見 大谷翔平、WBC優勝は「小さい頃から目標だった」
佐々木朗希「メジャーリーガーの力を感じた」 – サンスポ (sanspo.com)
■「証言 大谷翔平」(宝島社新書)