本気で青春を送れる、それが競技コースの良さ。
——履正社高校には、各競技の頂点を目指す生徒たちが毎年たくさん入学してきます。競技コースの特徴について教えてください。
「履正社高校の競技コースは、学力と競技力を共に高める文武両道を実現するためのコースです。1学年3クラスあり、異なる競技で日本一を目指す生徒たちが一緒のクラスで学びます。入学当初は、クラス内でも競技ごとにグループができたりして、お互いをライバル視したりする時期もあるんですが、その関係もだんだん変化していきます。入学後に本格的にクラブの活動が始まると、勝ったら笑顔になるし、負けたら涙を流すようになる。その経験はどの生徒もみんな味わうもので、お互いにそういった姿を見せ合っていくうちに仲間意識が生まれていくんですね」
——競技コースの生徒たちは各強化クラブに所属しますが、お互いに応援し合っていそうですね。
「そうなんです。2025年に、私が監督を務めるサッカー部が全国高校サッカー選手権大会への出場を決める大阪予選の決勝に出場したときは、野球部の生徒たちが応援に来てくれて、大きな声で全力で応援してくれました。その他の強化クラブの生徒、学藝コースの生徒、保護者の方、関係者の方など、総勢約2500人が応援に来てくれて、感動しましたね。履正社で過ごす月日を重ねるごとに、強化クラブの生徒同士はみるみる仲良くなっていくので、クラブとは別に、クラスという2つ目のチームに所属しているような気持ちになってくれているはずです」
背中を押して、生徒たちを育てたい。
——強化クラブ(硬式野球部、女子硬式野球部、サッカー部、ラグビー部、剣道部)の生徒は、言語技術の特別授業を受講しています。そのメリットについて教えてください。
「言語技術の授業を受講することで、生徒たちに一番身につけてほしいのは『自分で考える力』です。競技の世界では、自分で考え、実行し、確認してさらに改善することで技術力が上がっていきます。そのためには、監督やコーチが決めた練習をただ受け身になってやるのではなく、『なぜこの練習が必要なのか』『今の自分は何ができていて、何が足りないのか』を自分の頭で考えながら練習をしなければなりません。そのためにも、言語技術教育を通じて、『読む』『書く』『話す』『聞く』『考える』力を育てていくことは、一流の競技者を目指すためには絶対に必要になると考えています」
——最後に、平野先生が生徒たちと接するときに大切にしていることを教えてください。
「『背中を押す』ということを一番大切にしています。生徒たちが自分で目標を決めたのなら、私たち教師は生徒の前に立って『ついてこい』と腕を引っ張るのではなく、後ろに回って背中を押すのが役目だと思うんです。だからこそ、伸び悩んでいたり、本来持っている実力を発揮できていない生徒がいたら、不調を乗り越えるために何をすべきか自分で考えられるように、しっかり寄り添っていくつもりです。競技の枠を超え、競技コースに在籍する生徒一人ひとりが本気で青春を送れるよう、サポートしていくのが私たちの仕事だと思っています」

■プロフィール
平野 直樹先生
三重県生まれ。四日市中央工業高校にて高校総体優勝などを経験し、順天堂大学へ進学。卒業後は松下電器産業(現「ガンバ大阪」)でプレーし、1991年の天皇杯優勝に貢献する。現役引退後は、ガンバ大阪やベガルタ仙台のユースやトップチームのコーチ、監督などを歴任。2003年、履正社高校サッカー部の創部とともに監督に就任。2018年には日本高校サッカー選抜の監督として、国際大会で優勝へと導く