履正社Days 中学校 A DAY

JR西日本の管理職候補はなぜ言語技術を学ぶのか?

西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部運輸部指令業務課

山佐 明法 さん

――JR西日本が言語技術に取り組むことに決めた経緯を教えてください。

「2017 年に、新幹線の台車に亀裂が発生したまま走行を継続させるという重大インシデントを起こしてしまったことがきっかけです。その原因の一つに、車両の状況についての社員同士の会話の中で『認識のズレ』があったことがわかりました。そこで私たちは、安全な鉄道を実現することを改めて社会の皆様にお約束し、二度とこのような事象を発生させないという強い決意のもと、再発防止策の一つとして言語技術教育を導入いたしました」

――言語技術を学ぶことで、業務にどのようなメリットがありますか?

「弊社では、基本的に列車の運行管理を担当している『運輸指令員』に対して教育を実施しています。指令員は列車の運行に関して判断を求められる場面が多くあり、何らかの異常が発生した場合には、状況を的確に把握した上で路線全体の状況を見ながら、各列車の乗務員や駅係員などに指示を出し、安全を確保しつつ列車の運行を正常な状態に復する役割を担っています。社員からは、『言語技術を学ぶことで、相手に結論から伝えたり、結論を直接的に問うような質問を投げかけたりすることができるようになり、指令員として安全を第一に考えた行動をとれるようになった』といった感想をもらっています」

――山佐さんご自身の言語技術への印象は、取り組む前と後でどのように変化しましたか?

「実は最初は、言語技術って国語力なのかなと思っていました。確かに国語力は社会人として必要だろうなとは思ってはいたものの、国語力って漠然としていますよね。しかし研修を受けてみた結果、言語技術とは、論理的かつ体系立った『技術のパッケージ』であるとわかりました。国語力のように漠然としたものでは全くなくて、理系の私でも納得感のある形で受け止めることができました」「我々の目指す鉄道の安全性につながっていく」

「我々の目指す鉄道の
安全性につながっていく」

――言語技術教育を導入して、社内で変化があったことがあれば教えてください。

「業務のあらゆる場面で会話量が増加し、不足情報を積極的に補う姿勢が見受けられます。また、『役職に関係なく疑問点や指摘があればその場で発言することが当たり前』という雰囲気が生まれ、職場の風通しもより良くなりました。我々は普段、言葉を使うだけでなく、行動にも全て言語が根底にありますから、普段から『根拠をもって伝える』『根拠を求める』ことを当たり前にすることで、我々の目指す鉄道の安全性につながっていくと考えています」

――履正社中・高が言語技術教育に取り組むことを、どのように思われますか?

「非常に有意義であると感じます。言語技術教育は、受講開始の年齢が低ければ低いほど効果が高いためです。弊社でも新入社員から教育できればベストですが、日ごろの業務をこなしながらスキルを習得するのは、様々な制約があることも事実です。その点、もし入社時点で言語技術を備えている人材であれば、多くの企業にとって大きな力になると考えます。いずれは日本の学校教育の中で言語技術教育が主流となり、日本の人材の質の底上げにつながっていくことを強く期待しています」

 

※JR西日本の言語技術教育は、(有)つくば言語技術教育研究所の指導に基づいて行われています。
※データは取材時点のものです。