篠ブログ№10 【検証】履正社「言語技術教育」は生徒をどう変えたのか―6貫1期生アンケート分析―
こんにちは、篠岡です。
まったく衰える様子のない猛暑・酷暑の中、
全国大会初戦まで残り1週間をきった今日。
いよいよ甲子園では開会式が行われています。
野球部だけでなく、他クラブも。
あるいは、様々な探究フィールドワークやキャンパスツアー、
そして当然3年生は受験勉強、と生徒たちはそれぞれの「熱い夏」を過ごしています。
そんな中、今日は夏休みのこの時期を活かして、
履正社学びの核となっている「言語技術」の実効果を検証してみようと思います。

現在、「言語技術」は中学学藝コース生を中心に、
一部強化クラブ生や高校1年生全体にまで段階的に履正社全体に裾野を広げています。
ただ、何でもそうですが、走っている最中、その本人には「成長の実感」なんて感じられないのが普通。
「しんどいなぁ」「邪魔くさいなぁ」と思うだけかもしれません。
ただ、そのしんどいことを頑張って一定期間走り続けた後、
ふと立ち止まって、その“足跡”を振り返った時に自分の「成長の実感」が感じられるものです。
そこで、今走っている皆さんへの励みとして、
また「言語技術」に興味を持ち本校受験を考えてくださっている受験生の皆さんへのエビデンスとして、
本校の魁である6ヵ年1期生が、中学3年間学んできたその体感をデータでお伝えします。

さて、「言語技術」を学びだして4年目を迎える高1年4.5組の生徒たち。
さまざまな項目について、この7月に無記名アンケートを行いました。
いろんな意味で“正直者”の彼らの忖度なしの回答。
手厳しい結果も覚悟して分析開始しましたが……、
その結果は如何に?(できればPCでじっくりご覧ください)

■【夏休み特集】言語技術の学び―中学入学時(3年前)と現在(高1一学期)を比較
生徒たちに中学入学時(下図左)と現在の力(下図中央)をレベル1~4で自己採点し、それぞれ項目ごとに回答してもらいました(n=53)。
また、個々の3年間の変化(下図右)を、以下の4種で示しました(ちなみに【退化した】は0でした)。
【変化なし=±0】黄緑
【成長=1段階up】黄
【大きく成長=2段階up】紫
【劇的に成長=3段階up】赤

◆6項目とも、8割前後の生徒が「成長」を実感
まずは「言語技術」の基本であり、要となる2つの要素について。
A:「結論から述べる」=Lv3・4が3年間で 4% ➡ 64%に

B:「根拠を以て主張する」=Lv3・4が 10% ➡ 63%に

これは「問答ゲーム」を重ね、「パラグラフ」を書き続けていれば自然に身についていくのですが、さすがの好結果が出ました。【成長実感あり(Lvが1段階以上成長)】が8割近く。まずは、この力がつかなければ何も始まりませんからね。

続いて、これらの力を実践の場に活かせているのか?を調べてみました。
C:「自分の要約・読解する力」=Lv3・4が 10% ➡ 71%に

D:「自分の人に伝える説明・描写の力」=Lv3・4が 6% ➡ 64%に

個人差はあるとはいえ、CもDも現在レベル1がほぼいなくなったのは素晴らしいことです。
【成長実感あり】も双方8割超え。「言技」の学びの実用性を大いに感じているようです。

最後に、さらなる実践力の証。学生である限り、授業や試験で即使えるスキルであることは必須ですが…。
E:「人と議論・対話する力」=Lv3・4が 27% ➡ 89%に

F:「記述答案を作成する力」=Lv3・4が 12% ➡ 70%に

アウトプットを重視する「言技」。レベル3と4への到達が最も多くなりました。
「話す」と「書く」の確固たる自信は、3年間のたゆまぬ努力のなせる業です。

そして、
G:これらの力(A~F)をどの学びで培いましたか?

◆「言語技術」が65%、続いて「探究活動」が58%
この2つの本校の特色の詰まった授業が、他の学校内・学校外の学びの場面を大きく上回った結果となりました。

■学んだ言語技術は、他のどんな場面で使いましたか?
続いて、「言語技術」が他の学びにどう影響しているかについて。
次の6項目の質問をしました。
H:数学:証明問題、記述答案=使う60%
I:理科:実験レポート、考察=使う70%
J:社会:論述、資料の読み取り=使う62%
K:英語:ライティングやスピーキング=使う57%
L:探究:グループワーク、スライド作り、発表=使う85%
M:授業以外:部活、委員会、人との会話=使う79%

◆「探究」と「実生活(日常会話)」で8割前後の高い使用感。
「言語技術」が様々な学びをつなげる“核”となりつつあることが伺えます。
特に探究はやはり相性抜群。85%が「使う」と回答。「言技と探究」の融合は履正社だけの大きな武器です。
その他、文系だけでなく、理系とも相性がよく、全て6割超えで「使う」とのこと。
「使う」が6割弱と最も低い英語。本来であれば英語と言語技術は最も相性の良い組み合わせです。今後さらに英語力そのものが伸びてくれば、この割合も一段と高まっていくでしょう。
今回驚いたのは、教科以上に実生活で「使えてる感」が強い(約8割)のは、ほんとうに一生モノのスキルなんですね。

最後は、
■今の貴方の力でどれくらい太刀打ちできそう?
N:面接試験で自分の意見や考えを話すことができる
O:志望理由書や自己PR文を書くことができる
N(面接)、O(書類作成)に対しては、やはり場数を踏んでいるからなのでしょうか。
高1の段階で、高3で求められるNやOにも6割超の生徒が挑戦できそうだという自信を持っているようです。
自信だけでなく、実際にその力も着実についてきていると、私も感じていますよ。
〈参考〉実際に1期生が書いた小論文👉篠ミニ5.07 『私は夏休みが好きです』から始まった3年後の今

P:国公立二次で数百字程度の記述に対応できる
Q:入試レベルの小論文を書くことができる
R:英語で自分の意見や考えを書いたり話したりできる
P(国立2次試験)とQ(小論文試験)については、実際の大学入試レベルをまだ経験していませんから、現段階では赤ゾーンの人は「挑戦できそう」という前向きな自信の表れであると、好意的に受け止めたいと思います。
それでも当然ですが、過半数が「今すぐはちょっと不安(黄緑)」とのこと。心配せずともそれが当たり前です。まだ2年以上ありますから。努力を重ね、確かな自信に変えていきましょう。
一方で、本当にPやQやR(実用英語)への自信を確かなものへとつなげていくためには、これからの3年間で各教科の「知識」をさらに磨いていくことが欠かせません。
言語技術という「OS=表現する力」と、各教科で培う「アプリケーション=知識や思考」とが結びついたとき、その力は大学入試だけでなく、その先の学びや社会でも大きな武器になっていくはずです。

■今回の調査を総括
このアンケートから見えてきたのは、「言語技術」は単に文章を書く授業ではないということです。
考える、伝える、議論する、書く。
こうした力が教科の枠を越えてつながり、生徒たちの学び全体を支える土台となり始めています。
もちろん、まだまだ道半ばです。
しかし、3年間学び続けてきた彼らが残してくれたこの結果は、「言語技術教育」が確かな成長につながることを示す何よりの証と言えるでしょう。
6ヵ年生だけでなく、現在学んでいる高校生たちも同じように学び続ければ、今回と同様の成果は十分に期待できます。
履正社が育てたいのは、単に正解を覚える力ではありません。
自分の考えを論理的に伝え、人と協働しながら未来を切り拓く力。
その土台となるのが、「言語技術」です。
今回のアンケート結果は、まさにその教育の方向性が間違っていないことを示してくれました。
これからも生徒たちとともに、「伝える力」「考える力」を磨き続けていきたいと思います。

■最後におまけ
去る8月2日の夜、『Mr.サンデー』という報道番組で、世間のトレンド急上昇中「言語化」の特集コーナーが放映されました。皆さんご覧になりましたか?
熊本地震のニュースで予定より短縮バージョンでしたが、本校が提携する〈つくば言語技術教育研究所〉所長の三森先生と講師の織田先生が出演されてました。
スポットを浴びる「言語技術教育」。ようやく時代が追いついてきたのかもしれません。


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