【中高校長ブログ】VOl1 入学式(新年度)はなぜ4月?

【中高校長ブログ】VOl1 入学式(新年度)はなぜ4月?

みなさんこんにちは、校長の篠岡です。2026年度もよろしくお願いいたします。

去る4月7日、午前中に高校部、午後には中学部、2026年度入学式を挙行いたしました。高校538名、中学101名の新しい仲間が加わり、中高あわせて1815名の大所帯でのスタートです。

フレッシュな新入生、新学年に進み最上級生となった3年生と後輩を迎えた2年生。今年度も各々がいっそう主体的に学びながら、学友と協働して「学びをたのしんで」いきましょう。

       ↑ 高校部 ↓
        ↑ 中学部 ↓

さて、本校入学式については、【ブログ 学校だより】と重複するので、ここでは表題のお話を…。

「近代日本、入学式は4月じゃなかった」って知ってましたか? 

明治初期の日本には文明開化の流れとともにさまざまな西洋文明が輸入され、その中の一つとして仏・米を参考にした「学制(小学校~大学までの制度)」がひかれました。ゆえに、この頃は欧米にならい日本の入学式も9月だったのです。「学制」は「兵制」「税制」とあわせて明治の三大改革の一つで、これらは先進欧米諸国との差を『富国強兵』によって埋めるための改革でした。

その甲斐あってか、明治中頃になると欧米に並んだと自負した日本は、自衛のためではなく、他国へ進出するための『富国強兵』にギアチェンジしだしたのです(この方針転換への是非はここでは割愛します)。まず納税方法が地租改正により現物(米)から現金に変わりました。よって晩秋に収穫した米が冬~春に現金化され、それを徴収するため「税制」が3月締めになりました。日本の会計が年度基準(4月~3月)になったことで、「兵制」の徴兵対象者の届け出が9月から4月に変更され、軍の士官学校の入学式も9月から4月に変わったのです。こうなると国全体が予算執行などの面も考えて全てが統一される動きとなり「学制」も連動して、すべての学校の始まりが4月になったのです。

つまり、四季がはっきりしていて、かつ米産国である日本ならではの理由がそこにはあったのです。

そこから140年の間、日本は学校や会社など社会全体が年度制を引いてきました。今から10数年前に東京大学がグローバル化を考えて欧米のように9月入学への移行を画策した時期がありましたが、結局諸々世の流れには逆らえず断念した過去を思い出します。現在、欧米を中心に世界の7割が9月入学となっており、4月入学は日本以外だと、インドとパキスタンくらいしかないそうです。

グローバル時代がさらに進むこの21世紀、日本はもう一度9月入学を考える時期が近々やって来るのかもしれませんね?   ただ、4月入学の大きなメリット「満開の桜をバックに…」はなかなか捨てがたいですが…。しかし、今年は残念ながら盛りの「桜」には巡り合えませんでしたけど…(残念)。

最後に、中・高両方だと分量もあるので、今年度は中学部の式辞だけを掲載します。よろしければご覧ください。

式辞

暖かな春の日差しに誘われて、鮮やかな新緑の芽吹きや小鳥のさえずりが、本日の門出をお祝いしているようです。このよき日に、学校法人履正社 履正社中学校 令和8度入学式を挙行できますこと 心より感謝申し上げます。また、挙行に際しましてご多用の中、多数のご来賓(らいひん)の皆様にご臨席(りんせき)いただき、高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。

 

ただいま入学を許可いたしました101名の新入生の皆さん、入学おめでとう。また、保護者やご家族の皆様におかれましては、お子様のご入学 まことにおめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

本学園は大正11(1922)年の創立で104年の歴史と伝統を築いてきました。中学校は先代理事長釜谷(かまや)行藏(こうぞう)先生により創立され、皆さんはその42期生となります。その間、建学の精神を伝える「履正不畏(りせいふい)」「勤労(きんろう)愛好(あいこう)」「報本(ほうほん)反始(はんし)」の校訓のもと、知育尊重と人間教育を骨子(こっし)としながら、時代の変化にあわせて柔軟に教育プログラムを変革しつつ現在の教育活動に至っております。

さて、新入生の皆さん、本日から晴れて履正社中学生としての3年間が始まります。皆さんは数多くの学校の中から(えん)あって「履正社」の門をくぐったわけですから、ぜひその校名通りの学生生活を送ってください。本校の校名は校訓の一つ「履正不畏」に由来していますが、これは「自分が正しいと思うことを見極め、周りに遠慮せずにその正しいと思った道を進む」という意味です。それを一言で表すと「しっかりまっすぐ」です。「履正社」の「社」は、「そんな(こころざし)を持った生徒たちの集まった学び()」を意味します。まずは、世の中で正しいとされること、例えばルール、マナー、モラルなどをしっかり守って、他の人の模範となれるような中学生になってほしいと思います。時代や国が変わっても、この「正しさ」が変わることはほぼありません。しかし学問の面では、これからは一つの正解だけを追い求め、正しいとされる知識を蓄積するだけでは対応できなくなります。なぜなら、これらのことはAIが人間にとって代わる時代となるからです。21世紀は「正しさ」が多様化し、個人の価値観や判断力が重視される時代となります。つまり、正しいとされる知識をただ鵜呑(うの)みにするのではなく「なぜそうなるのか?」「こんな答えだってあるじゃないか」「問い方を変えればどうなるだろう?」という姿勢を常に持ち続けることがとても大切になるのです。

ここで皆さんに質問です。「1+1=?」。当然「2」ですよね。それでは「なぜ2なのか」って考えたことはありますか?「そんなの2に決まっている」「だってそう習ったもん」って声が聞こえてきそうです。でも、この問いを170年前に実際に突き()めた人がいるのです。そう、かの有名な発明王のエジソンです。エジソン少年は「1+1=1じゃないのか」と言って先生を困らせたそうです。しかし、日頃から何事にも疑問を持ち続け、常識を疑い、新しい視点から物事を考えるという彼の独創的な思考が、後のさまざまな大発明につながったのかもしれません。皆さんにも中学生以降、このような「学ぶ姿勢」を持ってほしいのです。  

そして、これをなしとげるための履正社の合言葉が「学びをたのしむ」なのです。勉強はもちろん、行事やクラブ活動、友達づき合いなどもすべて「学びの場」となります。何事もイヤイヤやってもはかどらず、身につきにくいのは当然です。だから、学びはたのしむことで、いっそう成果が出るし、また長続きもするのです。それなのになぜ、人はなかなか学びをたのしめないのか? これは同じ漢字を使うからかもしれませんが、「楽しむ」とは「(らく)すること」だと勘違(かんちが)いし、「(らく)じゃないから楽しくない」、だから「学びは楽しくない」と思い込んでしまうからではないでしょうか。だからその勘違いを生まないため、本校ではあえて「たのしむ」をひらがなで表記しているのです。例えば、ゲームの世界でも、昔のように決められたストーリーをなぞっていくだけのものは、一見楽しそうでもすぐ飽きられます。今では「オープンワールド」「マルチエンディング」のように、苦労はするけど、時間はかかるけど、自分の選択・決断が重視され、その結果正解が決して一つではないものが本当に楽しめるものとして受け入れられています。

このように自分が主体となって問い立てし、時に周りと力を合わせて最適な正解を探りながら、自分の目標に向かって日々学び続けているのが本校の先輩たちです。さらに、生徒だけでなく我々教職員も新しい取り組み、例えばICT、探究、言語技術、コーチング、AIなど、現在進行形で新しい「学びをたのしんで」いる、これが履正社なのです。

さあ、皆さんも我々と一緒に、さらに今、となりに座っている仲間たちとともに、「学びをたのしんで」いきましょう。

結びにあたり、ご臨席の保護者の皆様、お預かりいたしました大切なお子様、一人ひとりの夢の実現に向け、我々教職員一同は全力を尽くして教育活動に取り組んでまいります。各ご家庭におかれましても、本校の教育理念・実践にご理解とご支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私の式辞といたします。

                                令和8年4月7日

                                   学校法人履正社 履正社中学校

                                            校長 篠岡正和