世界史教員の斉藤です。
4月中旬、約1週間にわたり、ニュージーランド・テプケ高校からの2名の留学生をホストファミリーとして受け入れました。私は、普段は英語をまったく使う機会のない人間です。英語の学習は大学1年生の英語の授業以来。世界史でもニュージーランドのことは単元で扱うことが無いため、初めてのことだらけでした。
そんな私が今回、受け入れを申し出た理由は、「彼らのために力を貸したい。今までにない経験をしてみたい」と思ったからです。その際にホストファザーとして感じたことを二点、報告させてもらいます。少しでも皆さんの「うちでもホストファミリーやってみたい!」熱が高まってくれれば嬉しいです。
まず最初に私が感じたこと。それは、技術の進歩によって「言語の壁が大きく下がっている」ことです。
昔のように単語を推測して辞書を開くのではなく、スマホのGoogle翻訳のマイクを起動しておけば、何を言っているのかがその場で翻訳されていきます。これによって、彼らとのコミュニケーションにおける不安は大きく軽減されました。家庭でのルールや予定など、しっかり伝えなければいけないことの伝達ミスや漏れがなくなるからです。
また、気軽に翻訳できることにより、しっかりと伝えることも可能となっています。日本語のニュアンスも堂々と伝えることができるため、翻訳した際に「この表現、他にも使えそう」となることが多かったです。とはいえ、何気ない会話もすべて英語なので、大学卒業以来ほとんど使ってなかった英語脳を四苦八苦してフル稼働させた結果、毎日頭が筋肉痛でした(笑)。
次に、家庭での応対についてです。我が家は夫婦共働きです。早いほうの帰宅時間でも19時過ぎ、そこから子どもたちの夕飯の準備を行うこともあり、とても一般的な(?)ホストファミリーのように、日本の家庭料理を振舞いながら、空いた時間でどこかへ観光するといった気の利いたことはできません。
しかし、最近急速に日本への観光客が増加し、かつSNSの発達もあり、日本の外食チェーン店やコンビニの評価が高まっています。ネットでもすぐに外国人観光客向けの「日本旅行で食べるべきもの〇〇選(再翻訳された日本語)」を検索することができます。おかげで、彼らの口に合いそうなもの(特に濃い目の味付けや食感)をある程度把握することができるのです。そこで今回は、家庭料理を提供する代わりに、「日本のサラリーマン飯」とでも言うべきコンビニやチェーン店を朝晩ともにフル活用しました。
当然、事前に彼らに提案はしました。「明日の晩は、日本独特の牛丼かカレーを提案したいが、どっちを食べてみたい?(Google翻訳で伝える)」のように、予定として提示すると、彼らもネットで調べてみたのか、しっかりと選んで食べたいものを教えてくれました。朝のコンビニでも、クラスのバディから聞いたのか、(画面を見せながら)あれ食べてみたい、これ食べてみたいといった提案をしてくるようになり、日本の美味しいものが外国人にも口に合うのがとても嬉しかったです。ちなみに我が家で受け入れた二人は、ツナマヨおにぎりと塩おにぎり、カフェオレが毎朝の定番となっていました。
以上のように、かつてのホストファミリーに比べると、今は格段に受け入れが容易になっているように思います。
最終日、彼らが帰ってしまうのがさみしいのか、妻が泣いていたので、驚いて冷や汗をかいてしまいました(笑)。そして「最初はあなたに任せっきりだったけど、最後に(Google翻訳で)お土産の説明をしていたら、人に伝えるのがこんなに楽しいことを思い出した。次にまた機会があれば、最初から関わりたい」と嬉しいことを伝えてくれました。
また、子どもたちも、普段使っている日本語が全く伝わらない相手に対して、身振り手振り、表情で何とか伝えようと努力をしていました。最初は自己満足のような動機でやってみた今回のホストファミリーでしたが、結果として家族の成長につながったと思います。
皆さまも、一度ホストファミリーをやってみませんか?