「多文化フィールドワーク」2日目午後の様子をお伝えします。
お昼ごはんの台湾モスバーガーに舌鼓を打った後は、いったん部屋に戻り、全員正装に着替えます。なぜなら、午後は台湾切っての超名門校・台南第一高級中学校を訪問し、学校交流を行うからです。
今回参加した生徒は全員高校3年生で、すでに卒業式を終えているため、最後の制服姿が台湾でという、なんともスペシャルな高校生活のまとめとなりました。台南一中訪問は、まさにそのスペシャルな最終回に相応しい機会です。
台南一中は、日本統治下から続く名門校で、校舎も当時のものをそのまま使っています。戦時中に受けた機銃掃射の弾痕が生々しく残る煉瓦造りの重厚な建物は、大阪出身の森山松之助という建築家が設計したとのことです。





正門からバスで校内に入ると、校長先生自らお出迎えいただき、今日アテンドしてくださる生徒の皆さんも満面の笑みで迎えてくださいました。
まずびっくりしたのは、台南一中の生徒の皆さんが、とても流暢な日本語で応対してくださったということです。後で聞くと、N1やN2(日本語能力試験の1級や2級!)をすでに取得しているとのことで、舌を巻きます。
広い校庭を抜け、学校のシンボルツリーである、樹齢100年を超えるガジュマルの木の下をくぐり抜けて案内された煉瓦造りの講堂。その入り口までの廊下に生徒さんたちが両側に花道を作り、大きな拍手で私たちを迎えてくださいました。その上、講堂の中では9人の生徒の皆さんによる「春風」という楽曲の弦楽4重奏が花を添えてくださっていました。まさに熱烈歓迎!
まず、歓迎記念式典では台南一中校長先生のご挨拶、PTA会長のご挨拶と続き、履正社からも引率教員の挨拶で返礼をしました。また台南一中の代表の生徒さんは、完璧と言っていい日本語で、にこやかに交流に対する期待を話してくださり、履正社からも代表生徒が最初は中国語の挨拶、次に日本語で、さらに英語でスピーチし、大きな拍手をいただきました。
また、台南一中からは交流の記念に大理石の記念品を頂戴し、本校からも学校のロゴマークを模った「r モノリス」を贈呈。r はRiseishaの rであり、Relationshipの r でもある、と説明したところ、校長先生はいたく喜んでくださいました。






その後のキャンパスツアーでは、グループに分かれて、台南一中の生徒さんたちが校内を案内してくれます。私たち引率教員は、一旦校長室にご案内いただき、お茶をいただきながら少し懇談してから、校舎のあちこちを巡って校史博物館へ。
校史博物館を見学する中で、台南一中が、なんと履正社と同じく103年の歴史を持っていることに気づき、それを校長先生にお話ししたところ、「では、105周年の記念式典は、ぜひ両校で一緒にやりましょう! お互い男子校から始まった歴史もあるから、姉妹校というより兄弟校ですね!」と、話は大いに盛り上がりました。
この間、生徒たちは授業を体験したようですが、校長先生とのお話が盛り上がり過ぎて、そちらは台南一中の生徒さんにお任せしたままになってしまいました。
時間に急かされるように校舎から出て、全員で写真撮影。その後、校庭を抜けて正門に向かいます。
その道中も、模擬銃で儀仗の練習をする生徒さんたちが模範演技を見せてくれるなど、学校活動が活発な様子がひしひしと伝わってきます。










正門で校長先生と握手をし、近い将来の再会を誓ってお別れしました。履正社の生徒たちも、案内してくれた台南一中の生徒の皆さんと別れを惜しみつつバスに乗り込み学校を後にしましたが、文字通り、バスが見えなくなるまで手を振って見送ってくれた台南一中の皆さんには、ただただ感謝です。今後につながる素晴らしい交流をさせていただいたと感じています。
台南一中を後にした私たちは、午前中にスキップした「林百貨」へ。林百貨はいわゆるデパートのような生活雑貨・お土産物のお店で、日本統治時代に建てられた建物をそのまま使っている、台南を代表する建築物の一つです。台湾全土で2番目に早くエレベーターを備えた6階建ての建物で、その建物自体が見学の価値のある、「お土産も買える見学地」です。生徒たちは定番のパイナップルケーキから林百貨オリジナルグッズまで、日本のご家族や友達に買って帰るお土産を熱心に見て回っていました。



林百貨でゆっくりと見学/買い物を楽しみ、そこからバスで向かったのは夕食会場のレストラン「府城食府」さん。昨晩いただいた「度小月」さんと同じく、台南料理のレストランです。昨晩はからすみにノックアウトされた生徒たちは、最初はかなり用心して箸を進めていましたが、ルーローハンや小松菜の炒め物、うまみたっぷり塩味の海老真薯スープなど、優しい味わいの台南料理に徐々に馴染んできているようです。個人的に一番のヒットだったのは冬瓜茶。冬瓜を煮詰めて甘みを出し、そのさわやかな甘みを楽しむお茶なのですが、見た目は麦茶と同じ色をしているため、そういう味を期待して飲むと、あまりの甘さにびっくりするお茶です。
甘い飲み物は、暑い地域では鉄板ですが、この冬瓜茶は甘いのに、飲んでも喉が渇きません。日本で手に入るかどうかわかりませんが、ご興味ある方はぜひお試しください!



19:00前にホテルに戻り、そこから夜の学習時間。今日の振り返りです。10人の生徒たちが、成功大学の先生の問いかけで、今日の訪問地の中で、それぞれ着目した点を共有し、思考を整理したり、新たな気づきを得たりする時間です。同時にフィールドノートに新たな気づきを書き込んだり、自分の理解をさらに深めたりする貴重な時間でもあります。
10人(+引率の2名の先生)が、それぞれ今日の訪問地の中で印象に残ったこと、考えたこと、感じたことを共有していきます。共有された着眼点は一人一人みんな違っていて、人の感性の面白さに気づくと同時に、台南の街の懐の広さ深さを実感する時間でもありました。
帰り際に、台南一中を通じて台南市政府から私たち一人ひとりに頂戴したお土産を生徒に配り、今日は解散となりました。本当に充実の一日となり、生徒たちも世界史の授業を通じて得た知識が、ここ台南の街で立体的に理解され、それが今、この瞬間の自分の在り方と繋がっていることを実感しつつあるように見えます。履正社の「多文化フィールドワーク」は、まさにこれを目指して企画されていますが、学校としてもこれまでの活動に大きな手応えを感じています。
明日はまだまだ続くハイライトの一日。少し遠くまでお出かけをして、さらに深い台湾の歴史、そして今回のテーマでもある「東インド会社・オランダ・日本の植民地統治と近現代史の交差点としての台南を歩く」を強く実感する一日とします。


