【理事長だより】「vol.87 水のように生きる」

【理事長だより】「vol.87 水のように生きる」

「Be Water, My Friend(友よ、水になれ)」

これは、1970年代に世界中で活躍したアクションスターであり武道家のブルース・リーが残した有名な言葉です。

ブルース・リーと聞いても、みなさんには少し遠い存在かもしれません。しかし、映画『燃えよドラゴン(Enter the Dragon)』の主人公と言えば、聞いたことがある人もいるでしょう。

実は、この映画が日本で大ヒットした頃、私はちょうど今のみなさんと同じくらいの年齢でした。当時はブルース・リー旋風が巻き起こり、多くの若者が彼に憧れていました。もちろん私もその一人です。

私たちは、彼の華麗なアクションに夢中でした。

けれども今振り返ると、私の記憶に残っているのはアクションだけではありません。

人生を歩む中で、思い通りにならないことや、自分を変えることの難しさを経験するたびに、彼が残した言葉を思い出すようになりました。

「コップに注げばコップの形になる。ティーポットに注げばティーポットの形になる。水は静かに流れることもでき、激しく打つこともできる。友よ、水になれ」

水は不思議な存在です。

どんな器にも合わせて形を変えます。しかし、水であることは変わりません。

静かに流れることもできますし、ときには岩を削るほどの力を見せることもあります。

ブルース・リーが伝えたかったのも、そんな生き方だったのではないでしょうか。

周囲に流されるのではなく、状況に合わせて柔軟に変わること。そして、必要なときには力強く前へ進むことです。

東洋人である彼自身も19歳でアメリカへ渡り、人種の壁や偏見に向き合いながら道を切り拓きました。大きなけがに苦しんだ時期もありましたが、そのたびに立ち止まることなく、新しい道を探し続けました。

人は、自分の力だけでは変えられないことに出会います。

思い通りにならないこともあります。

それでも前へ進まなければならないとき、私はふとブルース・リーの言葉を思い出します。

水は形を変えます。しかし、水であることをやめるわけではありません。

「Be Water, My Friend」。

若い頃には憧れのスターの言葉でした。

けれども今は、人生の折々に思い出す言葉になりました。

半世紀以上の時を経た今もなお、その言葉は静かに流れ続けています。

【参考資料】

『Be Water My Friend 友よ、水になれ 父ブルース・リーの哲学』(シャノン・リー著、亜紀書房)

デジタル
パンフレット
中学校 説明会 募集要項