丸本「海辺の王国」 中学1年の授業紹介
年間3冊/中学校で全9冊の小説の授業の記念すべき1冊目
言語技術では読む、書く、聞く、話すの4技能を育てる為にイラストや物語など様々な教材を扱います。中でも「丸本」では一冊の小説を丸ごと扱った授業を行います。中学だけで3年間で9冊の小説を授業内で分析します。今回はその記念すべき1冊目となるロバート・ウェストール作「海辺の王国」を生徒達は読み解いていきます。

(生徒だけでなく、当然教員もしっかり読み込んでいます。ちなみにこれはこの本を用いた授業を4年以上している、とある教員の物。今では付箋が無くても、だいたいどのあたりに何が書かれているか分かります。生徒達には気になった所や大事だと思う所に付箋を貼ったり、線を引いたりするように指導します)
頼れる存在を失い、大戦下を一人と一匹で生きていく事になったら…
中学1年生では「海辺の王国」という小説を用いて全6時間の授業を現在実施しています。
本作は第二次大戦下のイギリスが舞台で、授業を受ける生徒達と同じく、もうすぐ13歳になるイギリス人の少年「ハリー」が主人公です。物語の始め、彼は空襲により家族を失います。失意の中、一人生き残った彼は生きていく為に施設や親せきの家に行くのを選ばず、当てのない旅に出る事を決断します。旅のお供は偶然出会った、彼と同じ境遇の一匹の犬「ドン」。一人と一匹は旅の中で仲を深めながら、多くの困難に立ち向かっていきます。人々の善意に助けられ、悪意に傷つけられながら、やがてハリーは一人で生きていく強さを手に入れます。
生徒達はそんなハリーの行動や思考の変遷を、「本に書かれている事実」や、「自分達だったら?」といった仮定を基に分析していきます。
物語の構造を読み解く
最初の時間では小説で起こった事を構造図に落とし込みます。生徒達に与えるのは山型の構造図が書かれた一枚の紙と物語を章ごとに短く要約した短冊のみです。生徒達はどの章が物語の構造のどこに当たるのかを考えながら、伏線となる要素について考え、整理していきます。そうして250ページもある本を一枚の紙にまとめる方法と小説の中に隠されている情報を探し出す方法を学びます。

(生徒に渡しているのは、山型構造が書かれたほぼ白紙の紙と、各章の要約を書いた短冊のみ。板書を書き写しつつ、自分の考えや授業を聞いて、自分が大事だと思った事を書き加えてオリジナルの構造図を生徒達は作ります)