3月8日(土)10時より、総合体育館で、第74回卒業式を行いました。まず、国歌・校歌斉唱を行い、続いて卒業証書と表彰状(皆勤賞、履正社高校賞、履正高鳴賞、外部表彰)をそれぞれの代表の生徒さんにお渡ししました。
私が式辞を読ませていただきました。長くなりますが、掲載させていただきます。
弥生3月に入り、桃の花もほころぶ、穏やかな季節となりました。
本日ここに、学校法人履正社 履正社高等学校第74回卒業式を挙行いたしましたところ、校友会会長様、履正会会長様、保護者会会長様をはじめ、ご来賓の皆様におかれましては、お忙しい中にもかかわりませず、ご臨席賜り、高いところからではございますが、厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございます。
保護者の皆様、お子さまの晴れのご卒業、おめでとうございます。高校時代は、長い人生のうちでも、心も体も大きく成長すると同時に、多感で不安定な時期とも言われています。しかし、保護者の皆様が 熱心に育み、導いてこられた甲斐が実り、お子さまは、とても頼もしい若人に成長いたしました。皆様方の本日のお喜びは、ひとしおのものがあろうかと拝察し、心からお祝い申し上げます。
441名の卒業生の皆さん、改めて卒業おめでとうございます。今日、この日を迎え、卒業生の皆さんは今、どのような思いが胸に去来していますか。おそらく、在学中の印象深い場面が、脳裏に甦っていることでしょう。それらすべてが「経験」という名の財産であり、かけがえのない貴重なものとして、皆さんのこれからを確かに支えてくれるはずです。安易に妥協することを良しとせず、懸命に自らの可能性に挑戦する姿は、輝いていました。皆さんが手にした卒業証書には、一人ひとりのたゆまぬ努力があったことは、もちろんのことですが、深い愛情をもって見守ってくださったご家族をはじめ、時には厳しく、時には熱く、そして優しく接してくださった先生方、ともに喜び、ともに涙した仲間、その他多くの人たちの励ましや支えがあったことを思い起こしてください。
さて、皆さんが進むこれからの社会は、変化の著しいものとなるでしょう。特に、AIとの付き合いは、避けられません。皆さんも、きっと会社や学校で、AIを使って資料やレポートを作成することでしょう。そこで、今日の私の式辞も、AIで作ってみました。その際、「卒業式の式辞で、アニメや漫画の話を入れてくれ。」とお願いしたら、こうなりました。
本日ここに、高校生活を締めくくる卒業式を迎えられる皆さん、誠におめでとうございます。
さて、この大切な日において、皆さんにどうしても伝えたい話があります。それは、アニメや漫画の世界から学べる人生の教訓についてです。例えば「進撃の巨人」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。あの物語では、エレン・イェーガーをはじめとする登場人物が、困難に立ち向かい、時には恐れや挫折を抱えながらも、未来を切り開く姿が描かれています。エレンの言葉、「何かを変えられるのは、何かを捨てることができる者だけだ」という言葉には、大切なメッセージがあります。皆さんもこれから、多くの選択に迫られることがあるでしょう。その中で恐れることなく、自分の信じた道を進んでください。
ホントは、もっと長い式辞で、「鬼滅の刃」も盛り込んでくれていましたが、その一部を紹介しました。何かそれっぽく聞こえませんか?ここまでAIは、進化しています。この後は、私が自分で考えた式辞を述べさせていただきます。
AIで思い出すのは将棋です。2010年頃からプロ棋士とAIソフトが戦い始め、人間が勝つこともありましたが、2016年になると、もはやプロ棋士でも勝つことが難しくなりました。将棋で、人間の出る幕がなくなり、長い歴史も終わりかと思われたのですが、現在では藤井聡太さんの出現もあって空前のブームになっています。今は、AIと人間が戦うのではなく、人間同士が戦うなかで、AIが形勢判断や最善手を示し、観戦している人が、棋士が最善手を指すかどうか、ハラハラしながら見守る「観る将」が増えています。失敗や逆転を繰り返しながら、新しい営みに挑んでいく。そんな人間の営みは、はたから見ると滑稽で悲惨なものかもしれませんが、だからこそいとおしい、人間らしいと思います。AI社会、AIにできることはAIに任せ、人は人にしかできないことに挑んでいくことが大切です。
AIは、「進撃の巨人」を選びましたが、私は将棋の漫画「3月のライオン」を紹介します。主人公の高校生プロ棋士 桐山零くんは、対局が忙しかったため、出席日数が足りず、留年の危機に陥りましたが、最後のレポート課題を仲間の力を借りて、終わらせました。そのときに、担任の林田先生が、零くんに言った言葉です。
「そうやって力を借りたら、次は相手が困ってる時、お前が力を貸してやればいい。世界って、そうやって回ってるんだ。一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ。でないと実は、誰もお前にも頼れないんだ。」
皆さんが進むこれからの社会は、人種、国籍、性別、文化といった、異なる価値観が入り乱れる、違うことが当たり前、それぞれが異なる価値観を持つのが当たり前な社会です。むしろその違いにこそ意味があり、違いをお互いに受け入れながら、新たな価値を作り出していくことになります。
多様性に溢れる社会、そしてAI社会を生きる上で、大切なのが「共感する力」です。相手が何を感じているのかを感じ、理解する力であり、相手に対して自分は、どうありたいのか、どうなりたいのか、どうしたいのかを判断し、行動を決めていく力です。どうしたら他者のために力になれるのか、どうしたら社会に対して役に立てるのか、どうしたら誰かの困りごとを解決できるのかを、判断の軸として持たなくてはなりません。自然と、自分の意識は社会に向かい、社会に対して当事者としての意識が芽生えていきます。主体的に生きるためには、この「共感する力」なしには成立しません。
高校卒業後の皆さんの人生は、これまで同様、決して平坦な道ばかりではないでしょう。その道のりを歩いていく皆さんには、自らをあるがままに前向きに肯定し、受け入れる心、すなわち自分を愛する心をどうか大切にしてほしいと願っています。その自分を愛する心こそが、他人を愛し、社会を愛する心につながっていくのです。そのような生き方の向こう側には、あなたのことを認め、温かく見守り、寄り添ってくれる人との出会いが、必ずあります。
そして出会った相手に対する気持ちを大切にしてください。人との出会いが将来、自分にとって大きなものになるかどうかは、出会った人に対して、やさしい気持ちを尽くすることから始まるのではないかと思います。自分のことば、自分の行動を「優しさ」という観点で振り返る習慣をつけたら、次は、きっと優しいことばが口からでてきて、取るべき行動もやさしくなります。そしてそれは、必ず豊かな人間関係につながります。
保護者の皆様、立派に成長されましたお子さまのご卒業、改めて心からお祝い申し上げます。お預かりしておりました大切な大切なお子さまを、本日無事、お返しすることができ、教職員一同、これに勝る喜びは、ございません。この間、本校の教育活動に多大なご支援、ご協力、ご理解を賜り、誠にありがとうございました。
卒業生の皆さん、健康に留意され、それぞれの新たな目標に向かって精進、努力され、その精進、努力が花を咲かせ、実を結ぶことを、心から願っています。私たちも、皆さんに「履正社高校出身です。」 と誇りを持って言ってもらえるよう、取り組んでいきますので、履正社高校のことを、いつまでも見守っていてください。かくて卒業生の皆さんの前途が洋々たるものとなり、幸多かれと祈念して、私の餞の言葉といたします。
続いて、理事長のご挨拶、ご来賓の紹介のあと、在校生送辞、卒業生答辞、卒業記念品贈呈を行い、最後に「仰げば尊し」を斉唱して、終了いたしました。卒業生が退場する際には、生徒会長の司会進行で、保護者席の前に一列に広がり、「ありがとうございました」と一礼しました。終了後、卒業生は、各教室で、最後のHRを行いました。