【高校校長ブログ】Vol.27 2025年度修了 「お掃除のすすめ」

【高校校長ブログ】Vol.27 2025年度修了 「お掃除のすすめ」

こんにちは、篠岡です。本日、2025年度の修了式を行いました。先日、3年生が卒業し、残された1.2年生は現学年を無事修了、4月には各々次学年に進級します。3年間履正社で『学びをたのしんだ』先輩たちはそれぞれ次のステージに旅立っていきましたが、今年度は京都大、大阪大、神戸大や国立大医学科など難関国公立大への進学が際立ち、私大合格者も延べ2000名を超えるなど輝かしい足跡を残してくれました。また、海外の大学へ進学する者も複数出るなど、《RISEI VISION 2040》の浸透が徐々に芽吹いてきた感があります。在校生諸君も諸先輩の後に続き、ますます己のキャリアを成就する進路を歩むべく、新年度もしっかり『学びをたのしんで』ください。

 さて、本日の修了式では皆さんに次のような話をしました。「式の後、恒例の大掃除を実施します。特に年度末は各クラスの引っ越しもあるので、1年間の感謝と、次年度使用する人々のために、心を込めて教室の隅々まできれいにしましょう!」と。

 

 

 このように、学校における一斉清掃が存在するのはなぜなのか? 私も長年その在り方を考えてきました。時代を考えれば業者を雇えばいいんじゃないか、とも考えました。それでもやはり、経費削減云々ではなく、教育の一環として生徒による日常的な一斉清掃には意味があると考えますし、特に今の時代こそ必要なのではないかとも思っています。ということで、お掃除についての話を今号では紹介します。

 このように、学校における一斉清掃が存在するのはなぜなのか? 私も長年その在り方を考えてきました。時代を考えれば業者を雇えばいいんじゃないか、とも考えました。それでもやはり、経費削減云々ではなく、教育の一環として生徒による日常的な一斉清掃には意味があると考えますし、特に今の時代こそ必要なのではないかとも思っています。ということで、お掃除についての話を今号では紹介します。

 

 突然ですが、皆さん、松下幸之助さんって知ってますよね? 丁稚奉公から立身出世し松下電器産業(現在のパナソニック)を一代で築き上げ『経営の神様』と呼ばれた方です。その彼が1979年に私財を投じて創設した政治塾『松下政経塾』。卒業生の半数以上が実際に政治家になり、現首相高市早苗さんも卒業生の一人です。この塾で大切にしていた日課の一つに ‘朝30分の掃除’ がありました。「政治家を目指す大の大人たちに掃除?」 その心を松下翁の言葉から紐解いてみたいと思います。

 …以下引用

〈掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない。皆さんはそんなことはもう、三つ子の時分から知っている、と思うかもしれないが、ほんとうは掃除を完全にするということは、一大事業です。〉

〈親鸞でもお釈迦さんでも、一所懸命に悟りをひらきたい、世の中の真理というものを知りたいと念願して、3年も4年も苦行をしたわけです。きみはそんなに念願もせず、ぽっとここ(政経塾)へ入ってきたのでしょう。悟れるわけがない。だから、掃除をやりなさい。掃除を完全にできないようではあかんということで、掃除をやっているのです。〉

 

〈どんな仕事でも、単純な仕事でも、真心をこめてやらないと具合が悪い。そこからいろいろなものが生まれてくるわけや。掃除の仕方でもやっているうちに、こういう掃除の仕方があるということがわかってくる。植木のあいだを掃除していても、こういうふうにしたほうがもっと早くきれいになる、木のためにもなると気づく。そんなことまで考えるような人は、しまいには植木の職人になるかもわからん。そうすると植木屋になっても非常にいい仕事ができる。君が植木屋になるわけやないけれども、どんなにつまらんと思う仕事でも、やる以上は精神をこめてやらなければならない。〉

〈ところが、全員が朝の掃除を30分間、誠心誠意やっているかどうかという問題やな。形式的にやっているだけだったら、それはもう、何も身につかんわけや。植木の間を掃除している。葉が落ちている。その落ち方を見て、この植木は傷んでいるからもっと水をかけてやらなければいけないというようなこともわかってくる。掃除をしていながら、植木を育てることもできるわけや。すべてにおいてそうでなければ、商売をしていても、こういう商売の仕方は具合が悪い。将来の日本のためにならない。将来の日本のためになるには、商売の仕方を変えないといけない。そのためには、この法律は必要ない、この法律があったらかえってじゃまになるから、この法律を変えなければいけない。するとさらに、そのためには政治はこうあらねばならない、ということまで発想していくことになる。〉

〈 〉内…『松下幸之助発言集』『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』PHP研究所 より引用

 

 

 このように、日々の掃除が商売や政治にまで結びつくという遠大な話でしたが、何もここまで大げさなものを皆さんに求めているわけではありません。心理学的にも掃除が自分に、かつ周りに様々な恩恵をもたらすことは立証済です。そもそも、汚い部屋がストレスホルモン分泌量を増加させることは事実ですし、このことで集中力・持続力が低下し、不安感・無力感が増大します。当然、気が散ったり必要な物を探したりして時間を浪費し、作業効率も下がります。有名な「割れ窓理論(下の2枚の絵)」にもあるように、軽微な汚れやゴミがさらなるゴミを呼び、皆さんの心も知らず知らずにすさみ、ついにはそのクラスの治安悪化にもつながりかねません。「何でうちのクラスは授業中落ち着きがないの?」「よそのクラスより問題が起きるのはなぜ?」なんて場合、その教室散らかってませんか?

 逆に整理整頓された環境はこれらを全て好転させるだけでなく、自ら清掃することで、計画性や創造性が身につき、続けているうちにより効率のよい方法を工夫しだし、皆と協働作業することで一体感やコミュニケーション力もupします。さらに、自らの手でよい環境を構築することは、その成果が自己肯定感にもつながり、掃除することそのものが適度な運動となりストレス解消に繋がります。

 掃除、特に集団での清掃活動では、「学びをたのしむ」ことによって培おうとしている21世紀に必要とされるスキルの多くが養われるのです。つまり、主体性・計画性・創造性・市民性・問題解決・コミュニケーション・コラボレーションなどなど、それらが日常的な終礼後15分の一斉清掃で手に入れられるのです。まあ、「誠心誠意やっているかどうかという問題やな」ですが…。

あるクラスの1コマ

 今朝の私の訓話の後の大掃除にどれくらいみんなが心を込めて携わってくれたのかはわかりませんが、新年度の第一発目の目標が ‘日々の一斉清掃活動の充実’ であることは予告しておきますね。もちろん、各々も自宅で勉強に煮詰まった時、妙にイライラしたり気乗りしなかったりする時、まずは自室の掃除から手を付けるのがお勧めですよ。これが日課・ルーティーンになったらなお良しですね。

 それでは皆さん、よい春休みをお過ごしください!